「にしいこう子どもひろば」に込める思い
■子育てしていて感じる不安とはなんでしょう
これまで、たくさん、初めてのことを経験してきた、大人の私たち。
初めての学校、初めてのひとり暮らし、初めての就職。。
すべては自分のことでした。わからなければ、周りの先生や友達に聞けば、すぐに教えてもらえたり、経験を聞くことができました。
子育ては、、、
状況が少し違います。
まず、自分のことではありません。自分の子どもでも、何を感じて、何をしたいのかは、聞かないとわからない。小さな子どもは上手に思いを言葉で伝えてくれません。赤ちゃんがいる生活は、気軽に行動することもできません。
核家族では、いつでも相談できる子育て経験者が身近にいることはまれです。これまで一緒にすごしてきた友達は、同じときに子どもを産むことは、ほとんどありません。近所にも住んでいません。
初めて子育てを経験する私たちは、不安を感じても、すぐに解消できる状況にはないのです。
■子育てには、大人が十分に子どものための時間をつくることが必要
そのような中で、子どもと一緒にいる時間を長く持つ親と、限られた時間しか子どもと過ごさない、過ごせない親がいます。初めての子育てを少しでもよいものにするためには、子どもの健康や、遊び、教育に関する情報を得ることや、同じ経験をしてきた人、わかってくれる人との対話が必要ですが、そのための労力や時間を充分に割くことができない親がいます。
ますます、子育てが難しい環境にある人が多くなっているのです。
子育てには、親やその他の大人が十分に子どものための時間をつくることが必要なのです。
■子どもに教育をする義務より、就労と納税の義務が優先されていると感じる
憲法には、教育を受ける権利と、子どもに教育をする義務が明記されています。
この権利を享受し、義務を果たすためには、大人が子どものために過ごす時間を十分にとることが必要です。
一方で、憲法には就労と納税の義務も記載されています。今の日本では、個人の活動としては、就労と納税の義務を果たす方が、子どもに教育をする義務より重要だと考えているような感じられます。子どもに教育をする義務とは、主として義務教育と考えている人が多いのではないでしょうか。個人それぞれの日常では、子どものために時間を割くより、会社の仕事の方大事だと、多くの経営者は考えています。
■かつてより、子育てに向き合うための時間を確保しにくく、孤立しがちな私たち
共働き世帯とひとり親世帯は、約7割を占め、1980年の約4割より大きく増えています。子どもと接する時間を十分に確保できる世帯は、約6割から3割へと半減したと推定できます。充分に子育てのための時間を確保できる世帯は多くありません。
http://www.garbagenews.net/archives/1953967.html
http://www8.cao.go.jp/yo…/whitepaper/h25honpen/b1_01_01.html
http://www8.cao.go.jp/…/w-20…/18webhonpen/html/i1511110.html
働いていない親であっても、未就学児の子育ては核家族化によって孤育てとなっており、子育てに必要な情報が限られていて、心の余裕を失いがちです。
冒頭の話に戻りますが、子育てで不安を感じる背景には「子育てに十分に向き合うための時間を確保することが許されていない社会」があるのではないでしょうか。孤立した子育てにならないためには、夫婦ともに子育てに十分に向き合う必要があります。
若者世代の収入は、かつての高度成長時代より減少しています。昔より長時間労働になりがちな環境にあります。今の親たちは、かつてより時間に余裕がない上に、子育て情報に接する機会も減ってきているのです。
■そのような中でも、自分たちでできることがあるでのはないか
私たちが「にしいこう子どもひろば」をつくるのは、子育てに十分な時間をかけにくい私たちが、お互いにつながり、自分の子どもだけでなくお互いの子どもと接する機会を持つことができれば、私たちの子どもは、より多く教育を受ける、大人に見守られた時間を過ごすことができ、かつての子どもたちと同じような環境で過ごすことができるのではないか、よりたくさんの大人と接することで、より多様な経験ができるのではないか、との思いからです。
「にしいこう子どもひろば」を始めるにあたっては、子どもを通じて出会った保護者、地域の町会、足立区役所、企業、同じく子どものために活動している方々やNPO団体のご協力をいただきました。思いのほか、短い準備期間で開催までこぎつけられたのは、たくさんのご支援、ご協力のおかげです。ありがとうございました。
この活動から、私たちが学ぶことがたくさんあることでしょう。この活動を上手く継続させ、多くの子どもの成長を見守り、何よりも子育ての不安を乗り越え、子育てを楽しめるお父さん、お母さんが増えることを願っています。
誰もが「子育てって楽しいね」と胸張って言える社会を目指して。